リジット ランサーエボリューションX 開発日記


RIGIDワークスランサーエボ5




車両グレード:RS(スポイラー付・薄板ボディ仕様)
セッテイング&コメント責任者:中村誠司(アルファ代表)
テストドライバー:岡野博史(アルファ・テスト契約ドライバー)
車輌製作責任者:高橋明裕(アルファ・チーフメカニック)


〔車両仕様〕

アルファサスペンションキット
RIGIDスタビライザー
クスコLSD
TETRXバケットシート
パイロテクトシートベルト
RIGIDブレーキパッド
RIGIDスリットローター
RIGIDクラッチカバー&ディスク
RIGIDタワーバー
RIGIDエンジンマウント
RIGIDマフラーリング
RIGIDホイールナット
RIGIDシフトノブ
RIGIDエアーフィルター
RIGIDメーター
TETRXフードスクープ
TETRXエアーネット
RIGIDサンクション&インタークラーアルミパイプ
RIGIDフロントエキゾーストパイプ
HKS関西マフラー
9BS軽量バッテリー等。



開発日記

98年1月28日」 アルファに納車される。(5名乗車)

「1月28日〜」 ジムカーナ仕様で製作開始。

1月31〜2月2日」 慣らし運転でのインプレッション

2月5日」 シェイクダウン

2月11日」 比較テスト

2月15日」 実戦デビュー

3月4日」 セッテイング

4月13日」 セッテイング

5月30日」 セッテイング

6月10日」 イベント報告

8月26日」 セッテイング

9月29日」 開発終了

11月26日」 対策ガソリンタンク

99年3月24日」 新型LSD

6月25日」 転売決定


製作開始 98.1.28

待望のランサーエボリューション5が納車された。
ホワイトのボディは非常にグラマラスで迫力がある。
早速各種パーツの適合確認と暫定的な競技車の製作を開始した。
思った通り基本的なパーツはほとんどがエボ4の物が適合しそうである。
ただ、サスペンションとエンジンマウントは部分的に不適合があった。
また、大幅なワイドボディ化に伴いホイールのオフセットはFRに近い数値になりそうである。
ショック、スタビライザー、LSD、ブレーキパッド、クラッチ等の基本的な機能部品がそろっているので、
熟成は非常に早いと思う。2月上旬までには「ならし走行」を終了させて、
「インプレッサ/バージョン4」や「ランサー/エボリューション4」とのジムカーナ性能比較テストを実施する予定である。
比較テストの結果はこのコーナーに掲載する予定なので楽しみにして欲しい。


慣らし運転でのインプレッション 98.2.2

暫定的な車両製作が終了して、慣らし運転を開始した。
岡野博史が750kmを担当し、僕が残りの250kmを担当した。
まず初めに感じたのは、明らかに車が軽くなり、ブレーキが良く効くようになったことで、
従来から重くて止まらないと指摘されていたエボ4の弱点をかなり改良したようである。
エンジンは従来通りトルクフルでターボラグの無い素晴らしい仕上がりである。
ステアリングもセンター付近がしっかりしており、剛性感は抜群である。
車体本体の剛性はエボ4とあまり差を感じないが、トレッドの大幅な拡大の為か、
前後サスペンションの路面への追従性はエボ4を大きく凌駕している。
コーナリング限界も異様に高く、一般公道では限界チェック等は怖くてとても試す気にもならない程である。
メーカー自主規制付近の速度域での安定性や接地感はR32GTRに匹敵するほどで、
トータルでの走行性能は国内市販車のトップクラスであることは間違い無いと思う。
エボ6の計画が未定の現在では、このエボ5を入手しないと後々後悔するかもしれない。
今年はインプレッサで参加を予定している僕にはエボ5は正直言って、恐ろしい敵である。
なお、エボ5でジムカーナのJAF地方選手権戦に初めて参加した選手は九州の山家選手である(結果は3位入賞)。
リジットワークスの岡野選手のエボ5デビューは2月15日の関東地方選手権第1戦(関越スポーツランド)を予定している。
(シビックでの参加はレギュレーション解釈が一部不明な為に延期した。)


シェイクダウン 98.2.5

浅間台スポーツランドでエボ5のシェイクダウンを行った。
テストドライバーはリジットワークスの岡野博史が担当した。
路面はドライで気温も高く、3月下旬の様な気持ちの良い天気で、シェイクダウンには最適な条件であった。
今回のテスト目的は暫定セッテイングでの性能評価や、スプリングバネレート選択、
サスペンションアライメント適正化等で、評価タイムの基準は僕のインプレッサバージョン4のタイムとした。
結果的にはエボ5もインプレッサもタイム的には互角であった。ただ、インプレッサは去年からセッテイングを先行しており、
現段階ではかなり煮詰まっている状態なので、条件的にはかなり有利であったことを考えると
互角のタイムをマークしたエボ5のポテンシャルはかなりなものであると思う。
今回のテスト走行で特に感じたエボ5の進化点は「ブレーキ性能の向上」、「車体の軽量化」、
「ターンでのエンジンストールの解消」等である。
ただし、サスペンションに関してエボ4のノウハウを100%流用する事は無理な様で、
エボ4のセッテイングを基準にはするが、かなりの修正、改良が必要であると感じた。
次回の雑誌取材テストまでにはより煮詰めた状態に仕上げたいと思う。


比較テスト 98.2.11

2月5日での問題点の対策をして、「ランサー・エボリューション4」と「インプレッサ・バージョン4」との性能比較テストを実施した。
テスト会場はいつもの浅間台スポーツランドで、アルファの走行会を利用しての公開テストとなった。
また、当日は「プレイドライブ誌」の取材も行われた。「エボリューション5」は前回のシェイクダウンではあまり良い結果が出なかったので、
岡野選手もアルファのスタッフもいつもより緊張している様であった。
結果は、セッテイングの変更は巧く行き、岡野選手も笑顔になるほどの満足できる仕様になっていた。
詳しいテスト結果は3月1日発売の「プレイドライブ誌」を購読して確認して欲しいが、
タイム比較優位差では「インプレッサ=エボ4<エボ5」の順であった。
アルファの関係選手に強く購入を推奨していた僕としては一安心である。
なお、アルファの車両比較テストは、タイヤコンディションやサスペンションレベルを極力同一状態で行う
厳正なテストであると自負しているので、このテスト結果は十分に信頼できると思う。
ランサーエボリューション6の発売予定が不明な状態の現段階では、エボ5は絶対に「買い」の車であると判断している。
4WDジムカーナ車両を購入する予定の選手は早急に購入を検討する事をお薦めする。
エボリューション5の実戦デビューは2月15日のJAF関東地方選手権(関越スポーツランド)に決定した。
自分の目でエボリューション5の走りを確認してたい人はぜひ見に来て欲しい。


実戦デビュー 98.2.15


JAF関東地方選手権第1戦(関越スポーツランド)において実戦デビューを行った。
残念ながら当日は雪まじりの雨という最悪のコンディションで、
エボ5軍団(計5台参加)の成績は最悪の結果となった。
エボ5では岡野選手が最上位で5位、江上選手が7位、上原選手が13位、
井上選手が16位、小峰選手が17位と下位に低迷した。
今回のイベントではマシンポテンシャル以外のファクターが大きく影響したために
エボ5の実戦でのポテンシャルチェックは出来ない状況であった。
岡野選手は次回の地区選手権第2戦には参加をしないので、
次の実戦参加は3月15日の全日本第1戦(名阪スポーツランド)となる。
なお、リジットワークス車は2月22日にベイサイドスポーツクラブで行われる
「アドバン・ジムカーナミーティング」でのデモ走行を予定しているので、
興味のある人は見に来て欲しい。


セッテイング 98.3.4


全日本第1戦に向けての最終セッテイングを「浅間台スポーツランド」で行った。
サスペンションスプリングのバネレート適正化とアライメント変更を行い、かなり煮詰まった状態になり、
後は岡野選手のドライビングテクニックに全てをまかせる事になる。
第1戦でのライバルとの比較で今後の開発やセッテイングの方向性を決めることになる。
毎年の事ではあるが、開幕直前は期待と不安が交錯しチューナーとしては胃が痛くなる日々が続いている。


セッテイング 98.4.13

全日本第2戦(キョウセイ)に向けての最終的なサスペンションセッテイングを浅間台スポーツランドで行った。
サスペンション自体はすでに微調整の段階に来ているので、簡単なアライメントの調整を行い、
キョウセイでのコースレイアウトを想定したセッテイングにした。
最終確認の意味で、今回は自分自身でも走行してみたが、インプレッサに比べてエンジン自体のパンチは無いが、
非常にトルクフルで乗りやすく、サスペンションの仕上がりもほぼ完璧な状態で
ドリフトコントロールも自由自在であることを再確認出来た。
やはりエボ5は誰が乗っても乗りやすくそれなりのタイムを約束してくれる車であることは間違いない。


セッテイング 98.5.30

5月10日に「菅生」で開催された全日本選手権第3戦でやっと4位に入賞し「エボリューション5」のトップになれた。
セッテイングもかなり煮詰まり「いい感じ」になってきたが、より上位を目指すために「備北」での第4戦を前に
「スプリングレートの微調整」と「エアレーション関係の変更」を行った。
ただ、「エアレーション関係の変更」はまだ完璧では無く、また、その「効果」も未知数なので、
今後実戦テストを通じてより煮詰めようと思う。
今回はインプレッサと同様に純正フォグランプカバーを軽量なテトラックス製の「アルミネット(近日発売とのこと)」に
交換して「エンジンオイルクーラーのクーリング能力の向上」と「エアーフィルターへのフレッシュエアーの供給増量」を計った。


イベント結果 98.6.10

6月7日に岡山県の「備北」で行われた全日本選手権第4戦でリジット・ランサーは
岡野博史選手の熱いドライビングで今期初の表彰台(2位)と「ランサーエボリューション5」の連続トップをゲットした。
1位のインプレッサとはまだ約1秒の差は有るが、ほぼ射程距離内に入ったと思う。
次回の第5戦(千歳)までには、よりセッテイングを煮詰めて優勝を狙いたいと思う。


セッティング 98.8.26


8月9日に関東の「茂木」で行われた、全日本選手権第7戦で3戦ぶりに3位に入賞したが、
今回は前日までセッティングに苦しみ、イベント直前まではボロボロの結果を覚悟していたが、
必死なメンテナンス・セッテイングと岡野選手のガッツでなんとかランサー勢のトップを奪還した。
今回色々ともめた再車検でも何の問題点もなくすんなり合格し一安心である。
9月末発売を予定している「サンクション&インタークーラーアルミパイプ」の効果はかなりのもので、
マフラー等の排気系チューニングよりも吸気系チューニングの方が、費用対効果が優れている事を再確認した。
今後はこの手のチューニングは新規定上でのタイムアップ効果のあるものとして常識になると判断し、
アルファとしても各車両の吸気系チューニングに力を入れていこうと考えている。
9月13日の浅間台でのイベントが今年の全日本選手権の最終戦なので、
よりセッテイングを煮詰めて優勝を目指したいと思う。


開発終了 98.9.29

ランサーエボ5が1月に納車されてから、早くも8ヶ月が過ぎた。
一通りのパーツ開発とマシンセッテイングが終了して、ランサーの戦闘力を十分に引き出せたと思うが、
新規定での新規パーツ開発にはかなり時間がかかるので、ドライバーの岡野選手には色々と苦労をかけたと思う。
個人の立場で参加している選手であれば、市販のあり合わせパーツやワンオフパーツでのチューニングが可能であるが、
リジットワークスの場合は、一般市販を前提に開発されたパーツを使用する必要があるので、
どうしても時間的な遅れが生じてしまう。シーズン最後の仕様で第1戦から参加出来ていれば、
結果はまた違ったものになっていたかもしれないが、
これも、パーツ開発がメイン目的のイベント参加なのでいたしかたないと思う。
ただ、リジットワークス車両と同じレベルの車両は、誰にでも製作できる様にパーツを開発してきているので、
ランサーエボ5ユーザーにはそれなりに貢献できたと自負している。
開発の最終段階で吸排気系のチューニングに本格的に取り組んできたが、
適切なパーツを適切に装着すると驚くほどのパワーアップ効果
(20万円程度のパーツ取付とは思えないほどの効果が体感出来た)が
あることがわかり、今後の新規車両の開発への方向性が見えてきたように思う。
今後のランサーの開発に関しては99年1月に発売されるエボ6を予定しているが、
エボ5のパーツがほとんど流用使用出来るとの情報もあるので、
シーズンの最初から十分な戦闘力を発揮できると思うのでとても楽しみである。
エボ5の開発報告は今回で一応終了するが、この車は99年シーズンに中村誠司が継続テストの為に
インプレッサから乗り換えて使用するので、マシントラブルや純正対策部品の効果等に関してはその都度報告して行きたいと思う。


対策ガソリンタンク 98.11.26

エボ5のコーナーリング時のガソリン片寄り対策ををしたと言う「エボ5用純正対策ガソリンタンク」を装着してみた。
確かに純正状態よりも少ないガソリン残量で走行出来るようになったが、
その差は約20L程度である(噂では残量15LでもOKと言う話であったが、実際には残量30Lは必要である)。
工賃を含めて7〜8万円を投資する価値が本当に有るか無いかは各人で判断して欲しいと思う。
現在ガス欠現象に困っていない人には全く不必要な部品と言える。
なお、このガソリンタンクの純正品番についての問い合わせは三菱の各ディーラーに直接して欲しい
(トラブル防止の為に当方からはお答えできない)。


新型LSDテスト 99.3.24

ランサーエボ4〜6のフロントLSDは、従来センターLSDを含めて、
各主力LSDメーカーの製品は26万円前後もしていたので、
改造の際のコストがそれまでのエボ1〜3に比べて非常に高かったが、
今回、クスコよりノーマルセンタービスカスを併用する10万円を切る価格のフロントLSDが発売された。
アルファでも、早速このLSDをエボ5に装着して、走行テストすることになった。
3月22日に浅間台スポーツランド行われた「リジット・ミーテイング」での走行テストの結果は上々で、
これから新規に車両を製作するエボ4〜エボ6オーナーにはお勧めのLSDだと判断した。
従来からアルファでは競技車両製作コストの面からも、「ランサーエボリューション」や
「インプレッサSTiバージョン」の場合にはリヤLSDは純正機械式を強化して使用しているので、
このLSDの出現で、LSDに関してはFF車並のコストで製作出来る事になった。


転売決定 99.6.25

エボ6の熟成に伴って、エボ5を転売することになった。
今後この車は若手の地区戦ドライバーのドライビングで優秀な成績を残してくれるものと期待している。
1年半にわたるこのコーナーも残念ながら今回で終了する。
なお、今シーズンこのエボ5でイベント参戦していた「中村誠司」は新型シルビア(S15)にスイッチすることになった。